僕は僕を好きになる

1. 僕は僕を好きになる［04:51］

作詞：秋元康／作曲：杉山勝彦／編曲：杉山勝彦・石原剛志

　はるやま商事・日本赤十字社CMソング。白石麻衣卒業後初のシングル表題曲で、3期生のエース・山下美月がセンターを、乃木坂46の表題曲を多数手掛ける杉山勝彦が作曲・編曲を務めた（編曲は石原剛志と共作）。

　ピアノ・ギター・ストリングスの優しい音色が魅力の楽曲。生きにくいと感じる「僕」が、ノートに自身の思いの丈を書いてゆく様子を詳細に描いている。曲中では、生きにくくしている張本人は自身だと気づく瞬間を描写。「まずは僕が僕自身を好きになろう」と誓っている。「自分自身を好きになろう」と温かい音・声で伝えた、激動の日々を生きる人達に捧げる優しい楽曲である。

　個人的には、前述した優しい音色と、自己肯定感の低い日本人に向けた歌詞が好きである（特に、2番Aメロと落ちサビが、自殺志願者に送りたい言葉として印象に残った）。また、フロントメンバーの山下美月・梅澤美波・久保史緒里のソロパートがあるCメロの歌詞が好きである（特に久保のソロパートが好きである）。

　尚、この楽曲のデモは元々EDMに近いものだったが、先方の注文により従来のサウンドに変更。前奏のピアノのリフに心を砕いて完成させた（KOMPASS より）。また、杉山氏はX にて、コンペ採用である旨を発表。個人的に「乃木坂46 × 杉山勝彦」は「AKB48 × 井上ヨシマサ」の関係性に似ていると感じた。

2. 明日がある理由［05:11］

作詞：秋元康／作曲・編曲：YU-JIN

　共通カップリング曲。日本テレビ系「第40回全国高等学校クイズ選手権」テーマ曲。配信シングル「Route 246」選抜メンバーが歌唱する。ピアノ・ギター・ストリングスの音色が魅力のミディアムナンバー。夢を叶えるために何度も挑戦・失敗する様子を、部屋の隅のゴミ箱に丸めた紙屑を投げ入れることに例えている。夢に向かって直向きに励む少年少女を励ました、柔らかい音色・歌声が響く温かい応援歌である。個人的には、曲全体の淡い音色が好きである。

3. Wilderness world［04:14］

作詞：秋元康／作曲：youth case／編曲：youth case・城戸紘志

　Type-A収録楽曲。バトルロイヤルゲーム「荒野行動」コラボレーションソング。選抜メンバーが歌唱する。人気楽曲「I see...」を手掛けたyouth caseが作曲・編曲（編曲は城戸紘志と共作）。殺風景なシンセサウンドが特徴的な楽曲で、荒野の世界（Wilderness world）で、夢を武器に独り闘う「僕」の姿を詳細・クールに描いている。「出来る限りの努力をする」と英語フレーズで言い切った、絶望の中の希望と意志を感じるダンスナンバーである。個人的には、英語フレーズのエフェクトと「荒野行動」を連想させる歌詞が印象に残った。

4. 口ほどにもないKISS［03:41］

作詞：秋元康／作曲・編曲：中村泰輔

　Type-B収録楽曲。アンダーメンバーが歌唱する。「僕のこと、知ってる？」と「アナスターシャ」を制作した、中村泰輔が3作連続で作曲・編曲を担当。ピアノ・ブラス・エレキギターで構成された楽曲で、「僕のKISSは世界一だ」と自信満々な「あなた」のKISSに拍子抜けする「私」の姿・胸中をポップに描いている。「口ほどにもない」と言いつつ満更でもない姿を描いた、新しい恋の予感を思わせる可愛いラブソングである。個人的には、気の抜けたサビの（笑）と「OK」の声が印象に残った。

5. 冷たい水の中［05:19］

作詞：秋元康／作曲・編曲：山口寛雄

　Type-C収録楽曲。堀未央奈の卒業ソング。淡いピアノとストリングスが印象に残る楽曲で、ぬるま湯から出て冷たい水の中に行こうと決める「私」の姿・胸中を詳細に描いている。グループからの卒業と厳しいソロ活動への覚悟を、細い歌声で強く誓った琴線に触れるバラードである。個人的には、曲全体の切ない音色が好きである。尚、この楽曲のMVは、堀の初選抜・初センター楽曲「バレッタ」発売から丸7年の2020年11月27日に公開され、堀はこのMV内で卒業を発表した（メンバーがMVで卒業を発表するのはグループ初である）。

6. Out of the blue［04:32］

作詞：秋元康／作曲：youth case／編曲：石塚知生

　Type-D収録楽曲。4期生が歌唱する（この楽曲より、2020年2月に加入した新4期生5名が歌唱に参加した）。ベース・ブラス・エレキギターで構成された音色が特徴。退屈な人生に辟易していた主人公が、異性の「あなた」に恋してときめく姿を可愛く描いている。前作収録楽曲「I see...」同様、非常にグルーヴィーな、人生が彩る瞬間を描いた爽快ラブソングである。個人的には、曲全体の痛快な音色が好きである。

　尚、題名「Out of the blue」は、「突然」を意味する英語の副詞である。また、編曲は、ジャニーズ楽曲で有名な石塚知生が担当。自身初の坂道シリーズ楽曲提供となった。

7. 友情ピアス［03:33］

作詞：秋元康／作曲・編曲：カワノミチオ

　通常盤収録楽曲。遠藤さくら・大園桃子が歌唱する。ギター・ピアノ・オルガン・コーラス等が映える優しい楽曲。Close friend（親友）に対する朗らかな気持ちを描いている。「巡り会えて 本当によかった」という想いを歌った、心がほっと温かくなれる切なく優しい楽曲である。個人的には、歌詞・旋律・音色・歌声全てが好きである（特に、前述した和やかな音色と、大園の澄んだ歌声が好きである）。また、前奏・後奏のメロディーが、いきものがかりの6thアルバム収録曲「ぬくもり」の前奏・後奏のメロディーに似ていると感じた。

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