サヨナラの意味

1. サヨナラの意味［04:59］

作詞：秋元康／作曲：杉山勝彦／編曲：若田部誠

　本作を以て卒業・芸能界引退の、橋本奈々未の表題曲初センター楽曲。代表曲を多数手掛ける杉山勝彦が作曲を、7thシングル「バレッタ」の若田部誠が編曲を務めた。ピアノ・ギター・ストリングスが極めて綺麗な楽曲。高架線のその下で「君」と別れる「僕」の姿を歌っている。抱擁で別れを惜しみつつ、腕を離して「君」を送り出す「僕」の気持ちを丁寧に描写。「この出会いに意味がある」「始まりはいつだって そう何かが終わること」等、別れに対する金言も多数盛り込まれている。「通過点のサヨナラに強くなれ」と優しく励ます、新たな場所へ巣立つ橋本に捧げる珠玉の一曲である。

　個人的には、歌詞・旋律・音色・歌声全てが好きである。また、杉山氏作曲の4thシングル「制服のマネキン」を強く意識した楽曲に聴こえた（曲中で登場する「電車が近づく高架線」「君の唇が動いたけど 聴こえない」が、「電車が過ぎる高架線」「動く唇 読んでみたけど YesかNoか?」のセルフオマージュに感じた）。尚、Real Sound はこの楽曲を、「切ないピアノの旋律と美しいメロディが耳に残るミディアムナンバー」と評価。インタビューに答えた高山一実も、「イントロから素敵」とこの楽曲を絶賛した。

2. 孤独な青空［03:41］

作詞：秋元康／作曲・編曲：aokado

　共通カップリング曲。選抜メンバーが歌唱する。AKB48の「365日の紙飛行機」を手掛けた青葉紘季・角野寿和が、aokado名義で作曲・編曲。親友と呼べる者がいない「僕たち」の孤独を、疾走感ある旋律と音色に乗せて歌っている。澄み渡る青空と虚しい青春時代を描いた、孤立感を覚えやすい現代社会に捧げる一曲である。個人的には、曲全体のドラム・ピアノ・エレキギターが好きである（特に間奏のピアノが好きである）。また、Bメロの歌詞が、上辺だけの関係を取り繕う現代社会を表しているように聴こえた。

3. あの教室［03:24］

作詞：秋元康／作曲・編曲：カワノミチオ

　Type-A収録楽曲。齋藤飛鳥・堀未央奈が歌唱する。淡いアコースティックギターを中心とした楽曲。偶然地元の商店街で再会した「二人」が、数年ぶりに母校を訪ねる姿を描いている。曲中では、好きだった人の名前を互いに言い合う姿を描写。「二人」が両想いだったと知り、少しきゅんとする様子を、細く澄んだ高い歌声で表現している。「キラキラとしたあの教室にはもう帰れない」と歌った、明るくも少し切ない郷愁的な楽曲である。個人的には、曲全体の音色（特にアコースティックギターとオルガン）が好きである。

4. ブランコ［04:34］

作詞：秋元康／作曲・編曲：Hiro Hoashi

　Type-B収録楽曲。アンダーメンバーが歌唱する。暗いピアノとエレキギターが印象的な楽曲。ブランコに乗る孤独な「君」と、そんな「君」に惹かれてゆく「僕」の姿を描いている。薄暮の公園の景色が浮かぶ、前述した音色が特徴。Aメロは低音のラップパートになっており、「ブランコ」から連想される幼く楽しげなイメージとは対照的な楽曲となっている。前へ後ろへ空を泳ぐ「僕ら」の寂しい姿を歌った、枯葉が舞う秋の終わりに聴きたいラップバラードである。個人的には、曲全体のリズムパートが、「僕」の心臓の鼓動に聴こえた。

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5. 2度目のキスから［03:59］

作詞：秋元康／作曲・編曲：Akira Sunset・APAZZI

　Type-C収録楽曲。秋元真夏主宰のユニット・真夏さんリスペクト軍団が歌唱する。エレキギター & ブラスが意気揚々と踊る楽曲。1度目のキスを経験した女の子に向けて、「2度目のキスから気をつけろ！」と可愛く釘を刺している。さゆりんご軍団への対抗心から誕生した、危険な恋の注意喚起ソングである。個人的には、曲全体の音色と、賑やかで可愛い合いの手、2番サビの「若くにゃい」が好きである。尚、トラックメイク後記がAPAZZIのTwitter に詳述されている。また、Akira Sunsetはこの楽曲で7作連続の楽曲提供となった。

6. 君に贈る花がない［04:33］

作詞：秋元康／作曲：Rizz／編曲：山田竜平

　Type-D収録楽曲。サンクエトワールが歌唱する。儚いピアノとメロディアスなBメロが魅力の楽曲。「彼」がいる「君」を好きになった「僕」の胸中を描いている。アスファルトにひらひらと雪が舞い降りる頃に聴きたい、成就できない両想いを歌った悲しい楽曲である。個人的には、「彼」を裏切れないが故に「君」に想いを伝えられない「僕」の歯痒さを丁寧に綴った歌詞が好きである。また、曲全体の音色も好きである（ラスサビのエレキギターが、遅過ぎた出会いに憂う痛烈な「僕」の叫びに聴こえた）。

7. ないものねだり［03:52］

作詞：秋元康／作曲：丸谷マナブ／編曲：丸谷マナブ・福田貴史

　通常盤収録楽曲。橋本奈々未の卒業ソング。ピアノ & ウッドベースが印象的な楽曲で、ないものねだりをしたくない「私」の胸中を描いている。伸びやかで落ち着いた橋本の歌声が魅力的。「なぜ人は目の前の幸せで生きられないの？」と、耳が痛い言葉も歌詞に盛り込まれている。「ゆっくりと過ぎる時間（とき）の中で、心を癒して生きます」という、橋本の固い決意を歌ったしめやかな楽曲である。個人的には、前述した音色と歌詞、Aメロの詳しい情景描写が好きである。また、最後のAメロの歌詞が、「大事なものを失ってまで頑張らなくてもいい」という、作詞・秋元康からのメッセージのように聴こえた。

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